Convergence Lab. CEOの木村優志です。 製造業の現場ではAIの導入が遅れています。今回は、製造業に必要なAIについてまとめます。
AI導入が遅れている製造業
AIの導入はとくに製造業で遅れているようです。
そこでは、
出典: 文部科学省「 民間企業の研究活動に関する調査報告2019」 (2020年6月)
それでは、製造業でどの様なAI導入が可能なのでしょうか? 今回は、製造現場についてのAI導入を見ていきましょう。
外観目視検査の自動化
まずはじめに思いつくのは、なんと言っても検査の自動化です。 とくに、外観目視検査はAIの得意とする領域です。 正常な製品の画像だけを用いて、 欠陥のある製品を分類することができます。この様な方法を「異常 検知(Anomaly Detection)」と呼びます。
MVTech異常画像データセットは、 特に有名なデータセットです。
出典: MVTech Software, "MVTec Anomaly Detection Dataset (MVTec AD)", https://www.mvtec.com/company/
緑枠で囲われている上段の画像が正常な製品、 赤枠の中断の画像が異常な製品の画像です。 下段に異常箇所が拡大されて示されています。
2020年3月に発表された、MVTech自身による研究では、 複数解像度の画像を組み合わせることで、91.7%の精度( ROC-AUC)を達成しています。これは、 一枚の画像を使った場合の精度です。
実際の現場では、 製品を回転させたりすることで複数の画像をりようできますから、 これより高い精度を実現できるでしょう。
プレディクティブメンテナンス
機械の故障を予測し事前に保守することを、「 プレディレクティブメンテナス」と呼ばれます。 AIで故障を予測する場合、異常検知を行う事が多いです。 前号では画像の異常検知である「異常画像検知」を扱いました。 混合で扱うのは、「時系列データの異常検知」です。

機械のセンサーデータや動作音を時系列データとして扱い、 それらが異常な値になっていないかをチェックします。
時系列データの異常検知にはいくつかの手法があります。
有名な統計的手法に、MT法(マハラノビス・タグチ法) があります。 集めたMT法は正常データの分布から観測データが大きく外れてい ないかを調べる手法です。ただし、 交絡因子をうまく制御しないと予測がうまく行かない(マルチコ、 多重共線性)問題があります。
機械学習による手法では、Isolation forrestを利用するのが便利です。 sklearnのページに、 機械学習手法による異常検知法の比較があります。
出典:sklearn, Comparing anomaly detection algorithms for outlier detection on toy datasets, https://scikit-learn.org/
しかし、時系列データを扱うなら、 ディープラーニングが便利です。
ディープラーニングを用いた時系列データの異常検知法は、 いくつか存在します。有名な手法に、 DeepAnTがあります。

出典:M. Munir et al.: DeepAnT: Deep Learning Approach for Unsupervised Anomaly Detection in Time Series, https://www.dfki.de/fileadmin/ user_upload/import/10175_ DeepAnt.pdf
DeepAnTは様々な実データの異常検知タスクで高い精度を示 します。
その他の導入方法
他には、事故の予防に利用することなどが考えられます。 製造業の現場では、 フォークリフトに荷物をたくさん積んで移動することがあります。 その際、人間や周りが見えなくなることがどうしてもあります。
監視カメラとAIを組み合わせることで未然に危険を防ぐことなど が考えられます。
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